異国の地にて思うこと

 久し振りに長期間(といっても2週間だが)異国の地で生活をする機会を得た。前回の長期渡航は1980年代の終わりで、大学1年生の時だった。そのころはインターネットも存在せず、また料金が高額の国際電話も使えず、日本に関する情報から完全に遮断されたような感覚だった。しかもそれが海外での当然の感覚だった。

 しかし今は、インターネットへの接続ができれば、日本の情報は簡単に得られるし、SNSや無料の通話アプリを使って簡単に連絡をとることもできる。そして、ここで自分が何をしているのかを簡単に発信することもできる。

 これは確かに便利である。例えば、(取り立てて興味があるわけではないが)某TV局の24時間番組内の恒例企画では、今年はだれがその任に当たるのかをひた隠しにして番組を盛り上げようとしていたが、その答えが異国の地でもほぼリアルタイムで入ってくる。

 実は今回、現役の大学生と一緒に来ているのだが、時間さえあれば、スマホをいじって、日本にいるときと同じようなパターンで生活しているようである。彼らがどのような感覚で海外での生活を送っているのかが非常に気になる。

 ここでしかできないことをやってみる、普段のことは横に置いてちょっと違うことを考えてみる、といったことにかける時間が削られているように思える。ということを考えている私も「常に情報を得ておかなければ」という気持ちに無意識になっているのか、ついインターネットで日本の情報を見てしまう。そして、SNSに写真を投稿したり、こんなつまらない文章を書き込んだりしている。

 これが海外での新しい過ごし方なのだろう。